目標
回帰不連続デザインについて理解する
回帰不連続デザイン
回帰不連続デザインは、ある基準値(カットオフ)を境にして、介入を行い、基準値付近の平均の違いを「処理の効果」と解釈する方法です。
基準値付近の平均を利用する理由は、その付近では、処置以外の要因はほぼ同じ(大きな要因とならない)とみなせるからです。そのため、カットオフ前後でアウトカムの平均がどのくらいジャンプ(不連続)するかを見て、それを「処置の効果」と解釈します。
例)テストで50点以上なら奨学金あり、未満なら無しとしたとき、49点と50点の学生は、学力や家庭環境などほぼ同じなのに、進学率に影響がでる。
ポイント整理
- 制度のルール:「50点以上なら奨学金あり」「未満なら無し」
- 観察される現象:
- 49点と50点の学生は、点数の差はわずか1点。
- 学力や家庭環境などの背景要因はほぼ同じと考えられる。
- しかし、制度上は「奨学金なし」と「奨学金あり」に分かれる。
- 因果推論の考え方:
- 進学率に差が見られた場合、その差は「奨学金があるかないか」という処置の効果によるものと解釈できる。
回帰不連続デザインの実施例
サンプルデータ(架空例)
- 処置ルール:
- 得点が50点以上なら奨学金あり(T=1)
- それ未満はなし(T=0)
- 進学率の設定
- 奨学金なし(T=0):進学率 約**%
- 奨学金あり(T=1):進学率 約**%
ID | 得点 (X) | 奨学金 (T) | 大学進学 (Y) |
---|---|---|---|
1 | 41 | 0 | 0 |
2 | 37 | 0 | 0 |
3 | 55 | 1 | 1 |
4 | 62 | 1 | 1 |
5 | 49 | 0 | 0 |
6 | 53 | 1 | 1 |
7 | 47 | 0 | 1 |
8 | 58 | 1 | 1 |
9 | 45 | 0 | 0 |
10 | 51 | 1 | 1 |
11 | 60 | 1 | 1 |
12 | 39 | 0 | 0 |
13 | 42 | 0 | 0 |
14 | 64 | 1 | 1 |
15 | 46 | 0 | 0 |
16 | 52 | 1 | 1 |
17 | 56 | 1 | 1 |
18 | 40 | 0 | 0 |
19 | 61 | 1 | 1 |
20 | 44 | 0 | 1 |
21 | 43 | 0 | 0 |
22 | 48 | 0 | 0 |
23 | 59 | 1 | 1 |
24 | 50 | 1 | 1 |
25 | 54 | 1 | 1 |
26 | 38 | 0 | 0 |
27 | 36 | 0 | 0 |
28 | 63 | 1 | 1 |
29 | 57 | 1 | 1 |
30 | 35 | 0 | 0 |
31 | 66 | 1 | 1 |
32 | 41 | 0 | 0 |
33 | 65 | 1 | 1 |
34 | 52 | 1 | 1 |
35 | 46 | 0 | 0 |
36 | 34 | 0 | 0 |
37 | 55 | 1 | 1 |
38 | 48 | 0 | 0 |
39 | 60 | 1 | 1 |
40 | 62 | 1 | 1 |
41 | 39 | 0 | 0 |
42 | 44 | 0 | 0 |
43 | 51 | 1 | 1 |
44 | 67 | 1 | 1 |
45 | 53 | 1 | 1 |
46 | 47 | 0 | 1 |
47 | 58 | 1 | 1 |
48 | 49 | 0 | 0 |
49 | 59 | 1 | 1 |
50 | 42 | 0 | 0 |
Excelでの手順
- 「奨学金ありグループ」と「なしグループ」に分ける
- 平均値を求める(=AVERAGEIF)
- 奨学金なしの進学率(平均Y)
- 奨学金ありの進学率(平均Y)
- 奨学金の効果(推定値)= 奨学金ありの進学率(平均Y)– 奨学金なしの進学率(平均Y)
- 散布図を作成し、「得点X」を横軸、「進学率Y」を縦軸にプロット
- 50 点を境に進学率がジャンプしていれば、処置効果が視覚的に確認できる
- (奨学金無しの平均)セルH3=AVERAGEIF($D$3:$D$52,0,$E$3:$E$52)
- (奨学金有りの平均)セルH4=AVERAGEIF($D$3:$D$52,1,$E$3:$E$52)
- (効果)セルH5=SUM(H4-H3)

出力結果とその解釈
出力結果:
カットオフ
ルールとして「50点以上なら奨学金あり、未満ならなし」 → カットオフ=50
奨学金無し(T=0)の平均進学率 = 0.125
つまり「奨学金がない学生のうち、12.5%が進学した」
奨学金あり(T=1)の平均進学率 = 1.0
つまり「奨学金がある学生は、ほぼ全員(100%)進学した」
処置効果 = 1.0 – 0.125 = 0.875
→ 奨学金の有無によって、進学率が87.5ポイント上昇した と解釈できる。
散布図で可視化
「得点X」を横軸、「進学率Y」を縦軸にプロットして散布図を作成します。
50 点を境に進学率がジャンプしていれば、処置効果が視覚的に確認できたことになます。

今回は以上となります。
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