12-LPIC「level1」

LPIC|level 1【X11】

目標

  • X11 を利用したリモートコントロールについて理解する
  • ディスプレイマネージャーについて理解する
  • ウィンドウマネージャーについて理解する

X11の操作

xhostコマンド

xhost を使った X11 のネットワーク経由でのGUIアプリケーションの表示手順を、具体的なIPアドレスやコマンドで確認します。

利用する仮の環境

項目
ローカルPC(表示側 / Xサーバ)IP:192.168.1.50
リモートPC(実行側 / Xクライアント)IP:192.168.1.100

手順

① ローカルPC(192.168.1.50)で xhost を実行し、リモートPCのX接続を許可します。

xhost +192.168.1.100

このコマンドで、「192.168.1.100(リモートPC)からこのPCのXサーバに接続してもいいよ」と許可することになります。

② リモートPC(192.168.1.100)にログインし、DISPLAY 環境変数を設定します。

DISPLAY=192.168.1.50:0
export DISPLAY

この設定により、GUIの描画先は 192.168.1.50(ローカルPC)の画面になります。

③ リモートPCでGUIアプリケーションを起動します。

xclock &

192.168.1.50(ローカルPC)の画面上に xclock が表示されます。

gnome-calculator &

192.168.1.50(ローカルPC)の画面上に電卓が表示されます。

  • xhost + や xhost +IPアドレス はセキュリティ上のリスクがあります。
  • 信頼できるネットワーク内でのみ使用するように注意してください。

状態確認コマンド(現在の許可リストを確認します。)

xhost

接続を拒否する場合

xhost -192.168.1.100

その他の、X11で利用するコマンド

startxコマンド

概要:グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を起動するコマンドです。

用途:Xサーバーとウィンドウマネージャ(例: GNOME, KDE, Xfceなど)を起動します。

使い方

startx

補足:ログイン後のターミナルでGUI環境を起動する際に使われます。通常 .xinitrc ファイルを読み込んで起動します。

xlsclientsコマンド

概要:現在Xサーバーに接続しているクライアントアプリケーションの一覧を表示します。

用途:Xセッションで、起動中のアプリを確認できます。

使い方

xlsclients

補足:詳細情報(ウィンドウIDやホスト名)も表示されるため、GUIのデバッグや調査に便利です。

xwininfoコマンド

概要:指定したウィンドウ(または画面全体)の情報を表示します。

用途:ウィンドウの位置・サイズ・ウィンドウIDなどを取得します。

使い方

xwininfo

実行後:マウスカーソルが変わり、クリックしたウィンドウの情報が表示されます。

出力項目としては「ウィンドウID」「ウィンドウ名」「幅・高さ・位置」「ボーダー幅」などです。

xdpyinfoコマンド

概要:Xディスプレイ(Xサーバー)の詳細情報を表示します。

用途:ディスプレイの解像度、色の深度、サポートしている拡張機能などを確認します。

使い方

xdpyinfo

表示内容の例:「スクリーン数」「画面解像度」「入力デバイス情報」「拡張機能の一覧」

コマンド主な目的対象
startxGUI(Xサーバー)の起動Xセッション
xlsclients実行中アプリの一覧を表示Xクライアント
xwininfoウィンドウの詳細を表示任意のウィンドウ
xdpyinfoディスプレイ情報の表示Xサーバー

ディスプレイマネージャ(Display Manager)

ディスプレイマネージャ(Display Manager)

ディスプレイマネージャは、GUIログイン画面を提供するための常駐プロセスです。主に X11ベースの環境で、Xサーバを起動し、ユーザーセッションを立ち上げる役割を担います。

ディスプレイマネージャの役割

ディスプレイマネージャーは次のような役割をもっています。

  • 起動時にXサーバを立ち上げる
  • ログイン画面を表示し、ユーザー認証を行う
  • ログイン後、ユーザーセッション(GNOME, KDE など)を開始
  • 複数のセッションやリモートXログインを管理する場合もある

代表的なディスプレイマネージャ

種類利用環境・特徴
XDM非常に基本的・軽量。カスタマイズ性は低いが安定
GDMGNOME標準。Waylandにも対応しておりUbuntuで多用される
KDMKDE専用(現在はsddmに移行)
LightDM軽量かつ柔軟で、多くの環境に対応。LPICでは重点対象

ウィンドウマネージャ(Window Manager)

ウィンドウマネージャ(Window Manager)

ウィンドウマネージャは、ウィンドウの表示・移動・装飾などのGUI操作を制御するコンポーネントです。X11クライアントの一種であり、Xサーバとは独立して動作します。

ウィンドウマネージャの役割

ウィンドウマネージャーは次のような役割をもちます。

  • ウィンドウの枠、最小化・最大化ボタン、メニューの描画
  • ウィンドウの重なりやフォーカス管理
  • デスクトップの見た目・操作感を構成する基本要素

代表的なウィンドウマネージャ

名称用途・特徴
twmテスト・最小構成用
fvwm軽量。古いハードウェアでも利用可
MutterGNOMEの標準。Waylandに対応
KWinKDEの標準
Fluxbox / WindowMaker軽量でカスタムしやすく、組み込み用途や古い端末に向く

統合デスクトップ環境(DE:Desktop Environment)

ウィンドウマネージャだけでなく、ファイルマネージャ、設定ツール、通知機能などが一体となった環境です。統合デスクトップ環境には次の特徴があります。

  • 操作性が統一され、ユーザーサポートが容易
  • 設定ツール類が揃っており、構築や保守が楽
  • システム標準の環境を決める上で重要(GNOMEまたはKDEが多い)

代表的な統合デスクトップ環境

名称特徴
GNOMEデフォルトが多く、企業・教育系で多数採用
KDEカスタマイズ性が高く、技術者やパワーユーザーに人気

LightDMの導入と切り替え手順(Ubuntu)

利用場面

  • Ubuntu DesktopでのLPIC学習環境の構築
  • GDMが重い or 柔軟なGreeter設定をしたい場合

導入手順

sudo apt install lightdm

インストール中に「使用するディスプレイマネージャ」の選択が求められます。 → lightdm を選択します。

実行中のディスプレイマネージャ(例:GDM)を停止

sudo systemctl stop gdm

これによりGUIが停止し、コンソール画面(黒い画面)に移行します。

テキストログイン(Ctrl+Alt+F2 などで切り替え)

# ログイン後、LightDMを起動
sudo systemctl start lightdm

LightDMが起動し、GUIログイン画面が表示されます。

デフォルトのディスプレイマネージャを再設定

sudo dpkg-reconfigure lightdm

「gdm3」などに戻すことも可能(メニューから選択)です。

今回は以上になります。

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