目標
- X11 を利用したリモートコントロールについて理解する
- ディスプレイマネージャーについて理解する
- ウィンドウマネージャーについて理解する
X11の操作
xhostコマンド
xhost を使った X11 のネットワーク経由でのGUIアプリケーションの表示手順を、具体的なIPアドレスやコマンドで確認します。
利用する仮の環境
項目 | 値 |
---|---|
ローカルPC(表示側 / Xサーバ) | IP:192.168.1.50 |
リモートPC(実行側 / Xクライアント) | IP:192.168.1.100 |
手順
① ローカルPC(192.168.1.50)で xhost を実行し、リモートPCのX接続を許可します。
xhost +192.168.1.100
② リモートPC(192.168.1.100)にログインし、DISPLAY 環境変数を設定します。
DISPLAY=192.168.1.50:0
export DISPLAY
③ リモートPCでGUIアプリケーションを起動します。
xclock &
gnome-calculator &
状態確認コマンド(現在の許可リストを確認します。)
xhost
接続を拒否する場合
xhost -192.168.1.100
その他の、X11で利用するコマンド
startxコマンド
概要:グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を起動するコマンドです。
用途:Xサーバーとウィンドウマネージャ(例: GNOME, KDE, Xfceなど)を起動します。
使い方
startx
補足:ログイン後のターミナルでGUI環境を起動する際に使われます。通常 .xinitrc ファイルを読み込んで起動します。
xlsclientsコマンド
概要:現在Xサーバーに接続しているクライアントアプリケーションの一覧を表示します。
用途:Xセッションで、起動中のアプリを確認できます。
使い方
xlsclients
補足:詳細情報(ウィンドウIDやホスト名)も表示されるため、GUIのデバッグや調査に便利です。
xwininfoコマンド
概要:指定したウィンドウ(または画面全体)の情報を表示します。
用途:ウィンドウの位置・サイズ・ウィンドウIDなどを取得します。
使い方
xwininfo
実行後:マウスカーソルが変わり、クリックしたウィンドウの情報が表示されます。
出力項目としては「ウィンドウID」「ウィンドウ名」「幅・高さ・位置」「ボーダー幅」などです。
xdpyinfoコマンド
概要:Xディスプレイ(Xサーバー)の詳細情報を表示します。
用途:ディスプレイの解像度、色の深度、サポートしている拡張機能などを確認します。
使い方
xdpyinfo
表示内容の例:「スクリーン数」「画面解像度」「入力デバイス情報」「拡張機能の一覧」
コマンド | 主な目的 | 対象 |
---|---|---|
startx | GUI(Xサーバー)の起動 | Xセッション |
xlsclients | 実行中アプリの一覧を表示 | Xクライアント |
xwininfo | ウィンドウの詳細を表示 | 任意のウィンドウ |
xdpyinfo | ディスプレイ情報の表示 | Xサーバー |
ディスプレイマネージャ(Display Manager)
ディスプレイマネージャ(Display Manager)
ディスプレイマネージャは、GUIログイン画面を提供するための常駐プロセスです。主に X11ベースの環境で、Xサーバを起動し、ユーザーセッションを立ち上げる役割を担います。
ディスプレイマネージャの役割
ディスプレイマネージャーは次のような役割をもっています。
- 起動時にXサーバを立ち上げる
- ログイン画面を表示し、ユーザー認証を行う
- ログイン後、ユーザーセッション(GNOME, KDE など)を開始
- 複数のセッションやリモートXログインを管理する場合もある
代表的なディスプレイマネージャ
種類 | 利用環境・特徴 |
---|---|
XDM | 非常に基本的・軽量。カスタマイズ性は低いが安定 |
GDM | GNOME標準。Waylandにも対応しておりUbuntuで多用される |
KDM | KDE専用(現在はsddmに移行) |
LightDM | 軽量かつ柔軟で、多くの環境に対応。LPICでは重点対象 |
ウィンドウマネージャ(Window Manager)
ウィンドウマネージャ(Window Manager)
ウィンドウマネージャは、ウィンドウの表示・移動・装飾などのGUI操作を制御するコンポーネントです。X11クライアントの一種であり、Xサーバとは独立して動作します。
ウィンドウマネージャの役割
ウィンドウマネージャーは次のような役割をもちます。
- ウィンドウの枠、最小化・最大化ボタン、メニューの描画
- ウィンドウの重なりやフォーカス管理
- デスクトップの見た目・操作感を構成する基本要素
代表的なウィンドウマネージャ
名称 | 用途・特徴 |
---|---|
twm | テスト・最小構成用 |
fvwm | 軽量。古いハードウェアでも利用可 |
Mutter | GNOMEの標準。Waylandに対応 |
KWin | KDEの標準 |
Fluxbox / WindowMaker | 軽量でカスタムしやすく、組み込み用途や古い端末に向く |
統合デスクトップ環境(DE:Desktop Environment)
ウィンドウマネージャだけでなく、ファイルマネージャ、設定ツール、通知機能などが一体となった環境です。統合デスクトップ環境には次の特徴があります。
- 操作性が統一され、ユーザーサポートが容易
- 設定ツール類が揃っており、構築や保守が楽
- システム標準の環境を決める上で重要(GNOMEまたはKDEが多い)
代表的な統合デスクトップ環境
名称 | 特徴 |
---|---|
GNOME | デフォルトが多く、企業・教育系で多数採用 |
KDE | カスタマイズ性が高く、技術者やパワーユーザーに人気 |
LightDMの導入と切り替え手順(Ubuntu)
利用場面
- Ubuntu DesktopでのLPIC学習環境の構築
- GDMが重い or 柔軟なGreeter設定をしたい場合
導入手順
sudo apt install lightdm
インストール中に「使用するディスプレイマネージャ」の選択が求められます。 → lightdm
を選択します。
実行中のディスプレイマネージャ(例:GDM)を停止
sudo systemctl stop gdm
これによりGUIが停止し、コンソール画面(黒い画面)に移行します。
テキストログイン(Ctrl+Alt+F2 などで切り替え)
# ログイン後、LightDMを起動
sudo systemctl start lightdm
LightDMが起動し、GUIログイン画面が表示されます。
デフォルトのディスプレイマネージャを再設定
sudo dpkg-reconfigure lightdm
「gdm3」などに戻すことも可能(メニューから選択)です。
今回は以上になります。

ブックマークのすすめ
「ほわほわぶろぐ」を常に検索するのが面倒だという方はブックマークをお勧めします。ブックマークの設定は別記事にて掲載しています。

