目次
目標
- Linuxカーネルパラメータについて概要を理解する
カーネルパラメータの概要
カーネルパラメータとは、Linuxカーネルの動作を制御するための設定値のことです。
カーネルはOSの中核を担うソフトウェアであり、プロセス管理・メモリ管理・ネットワーク・ファイルシステムなどを制御します。
カーネルパラメータを調整することで、以下のような動作をチューニングできます。
- ネットワークのパフォーマンス調整
- メモリ利用方法の最適化
- セキュリティ設定(IPフォワーディング、パケットフィルタリングなど)
- デバッグや開発時の挙動制御
たとえば、大規模なWebサーバーでは接続数を増やすために net.core.somaxconn を変更し、セキュリティ強化のために kernel.randomize_va_space を調整するといった利用方法があります。
確認方法
- 現在のカーネルパラメータは /proc/sys/ ディレクトリで確認できます。この例では、IPv4のパケットフォワーディング機能が有効(1)か無効(0)かを確認できます。
cat /proc/sys/net/ipv4/ip_forward
一時的な変更
- sysctl コマンドを利用することで、即座にパラメータを変更可能です。(-w オプションを使うと、設定を一時的に反映できます。ただし再起動すると元に戻ります。)
# IPv4フォワーディングを有効化
sudo sysctl -w net.ipv4.ip_forward=1
永続的な設定
再起動後も設定を維持したい場合は、以下のファイルに追記します。
/etc/sysctl.conf
/etc/sysctl.d/*.conf
# /etc/sysctl.conf
net.ipv4.ip_forward = 1
net.core.somaxconn = 1024
設定を反映するには以下を実行します。
sudo sysctl -p
よく使われるカーネルパラメータの例
パラメータ | 説明 | 用途例 |
---|---|---|
net.ipv4.ip_forward | IPv4パケット転送の有効化 | ルーター用途 |
net.core.somaxconn | 接続待ちキューの最大長 | Webサーバーの同時接続増加 |
vm.swappiness | スワップ使用のしやすさ(0〜100) | メモリ管理調整 |
fs.file-max | システム全体の最大ファイルディスクリプタ数 | 大量接続アプリ対応 |
kernel.randomize_va_space | アドレス空間配置のランダム化 | セキュリティ強化 |
実運用での注意点
- 設定変更はシステム全体に影響を与えるため、テスト環境で事前に検証することが重要です。
- 適切なパラメータ値は、利用するアプリケーションやサーバーの役割によって異なります。
- sysctl -a で一覧を確認し、必要な部分だけを調整するのが安全です。
Webサーバー向けカーネルパラメータチューニング例
Webサーバーは、多数のクライアントから同時にリクエストを受け付けるため、ネットワーク処理性能 がボトルネックになりやすいです。Linuxのデフォルト設定は汎用用途向けなので、Webサーバーとして使う際には適切なチューニングが必要です。
1.同時接続数の増加(最大同時接続待ちキュー)
net.core.somaxconn = 1024
- デフォルトは128程度と小さいため、大量のアクセスを捌くには増加が必要です。
- Nginxでは listen backlog に依存するが、その上限をここで決定します。
2.ファイルディスクリプタ数
システム全体の最大ファイルディスクリプタ
fs.file-max = 2097152
プロセス単位の上限(/etc/security/limits.conf)
* soft nofile 65535
* hard nofile 65535
※Webサーバーは「1接続=1ファイルディスクリプタ」を消費するため、大規模環境では不足しやすいです。
3.TCP接続の効率化
TIME_WAITソケットの再利用
net.ipv4.tcp_tw_reuse = 1
net.ipv4.tcp_tw_recycle = 0 # 廃止済みカーネルも多いので注意
- 大量の短時間接続があるWebサーバーでは
TIME_WAIT
状態が溜まりやすい。 tcp_tw_reuse
を有効化することで、クライアント接続の再利用が可能です。
SYN待ち接続数の拡張
net.ipv4.tcp_max_syn_backlog = 4096
- SYN flood攻撃対策、または大量の同時接続処理に有効。
4.ネットワークバッファの拡張
送受信バッファの最大値
net.core.rmem_max = 16777216
net.core.wmem_max = 16777216
自動調整の範囲
net.ipv4.tcp_rmem = 4096 87380 16777216
net.ipv4.tcp_wmem = 4096 65536 16777216
- 高トラフィック環境でスループットを安定させるための調整。
5.カーネルパラメータ設定例(/etc/sysctl.d/99-webserver.conf)
# Webサーバー向けチューニング
net.core.somaxconn = 1024
fs.file-max = 2097152
net.ipv4.tcp_tw_reuse = 1
net.ipv4.tcp_max_syn_backlog = 4096
net.core.rmem_max = 16777216
net.core.wmem_max = 16777216
net.ipv4.tcp_rmem = 4096 87380 16777216
net.ipv4.tcp_wmem = 4096 65536 16777216
反映コマンド
sudo sysctl -p /etc/sysctl.d/99-webserver.conf
6.運用上の注意点
- 値を大きくしすぎると、逆にリソースを消費しすぎる場合があります。
- サーバーのCPU・メモリ・NIC性能に応じて調整が必要です。
- テスト環境で十分に検証してから本番に適用します。
- 負荷試験ツール(ab, wrk, siege など)を使って効果を測定するのがおすすめです。
今回は以上になります。

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