目標
シンジケートデータについて理解する(カスタム調査については参考程度にでてきます)
シンジケートデータ(Syndicated Data)
シンジケートデータとは、調査会社や市場調査機関が独自の方法で継続的に収集し、複数の顧客企業に有料で販売するデータを指します。企業ごとに依頼して収集する「カスタム調査」とは異なり、業界標準として広く利用されます。
- 一次データ:企業が自らアンケートや実験を行って収集したデータ(カスタム調査)
- 二次データ:他者が収集したデータを利用(この代表例がシンジケートデータ)
1. シンジケートデータ(Syndicated Data)
- 費用負担:調査会社が主体となってデータを収集 → 費用を多くの企業に「分散」して回収
- 利用者:複数の企業(同じデータをシェア)
- 内容:市場全体を把握できるように標準化されている
- 例:POSデータ、視聴率データ、購買パネルデータ
- イメージ:共通の“定期刊行物”を購読する感覚
👉 「1社が全額負担しない」
2. カスタム調査(Custom Research)
- 費用負担:調査を依頼した企業が全額負担
- 利用者:依頼企業のみ(他社は利用不可)
- 内容:自社の課題に特化したオーダーメイド設計(例:特定商品の使用実態調査)
- 例:新商品のテストマーケティング調査、ブランドイメージ調査
- イメージ:企業が“専属の調査レポート”を発注する感覚
👉 「1社がすべて負担」
シンジケートデータの特徴
① 多企業共有
- 調査会社が自ら企画・実施し、複数の企業に販売するため、1社あたりの負担額は カスタム調査(依頼企業が全額負担) より低くなる。
- 標準化された形式で提供されるため、業界全体で比較・分析がしやすい。競合との相対的な位置づけも明確になる。
- コンビニやスーパーの POSデータ:→ 飲料メーカーは「競合飲料とのシェア比較」、菓子メーカーは「カテゴリ全体での売上トレンド」などに活用できる。
② 客観性が高い
- 第三者(調査会社)が独立して収集するためバイアスが少ない。
- 調査設計が標準化されており、業界全体で比較可能。
- 自社調査と異なり「外部から見た市場の姿」を把握できる。
③ 定期性
- 毎日/毎週/毎月といった定点観測が基本。
- 消費者行動や市場シェアの変化を「時系列」で把握できる。
- 季節要因やキャンペーン効果の検証に適する。
④ 二次データの為、高コストだが効率的
- 専門機関が大規模・継続的に収集するためデータ精度が高い。
- 1社で独自調査するよりコスト効率が良い。
- 導入費用は高額(数百万円〜数千万円/年)だが、戦略立案に十分な価値がある。
代表的な種類
- POSデータ
- 小売店のレジデータ(販売日時、商品、数量、価格)
- 市場全体の販売実績、売れ筋商品、価格動向を把握可能
- 例:インテージ「SRI+」、カンター「Worldpanel」
- パネルデータ
- 特定の世帯や個人を継続的に追跡し、購買・視聴行動を記録
- 個人単位で「誰が」「いつ」「何を」買ったかがわかる
- ロイヤル顧客の特性やブランドスイッチの分析に活用
- 視聴率データ
- テレビ・ラジオ・ネット動画の視聴習慣を継続的に測定
- 広告枠の価値算定、番組の人気測定に不可欠
- 例:ビデオリサーチ、ニールセン
- その他
- 流通カバレッジデータ(どの店舗で扱われているか)
- 広告接触データ(消費者がどの媒体に触れているか)
- ウェブトラフィックデータ(サイト訪問、検索行動)
活用シーン(具体例)
(1) 自社商品のシェア分析
- 「市場全体に占める自社の販売割合」を算出
- 競合他社との比較で 成長率 や シェア変動 を把握
- → 営業戦略や販売促進施策の優先度を決定
(2) 消費者行動のトレンド把握
- 消費者が「どのカテゴリ」「どのチャネル」で買っているかを時系列で把握
- 例:飲料市場で「炭酸飲料 → 無糖茶 → 機能性飲料」へシフトする動き
(3) 広告投資の効果測定
- テレビCMの放映後に購買がどの程度伸びたかを追跡
- 広告接触データとPOSデータを組み合わせてROI(投資収益率)を算出
(4) 新商品の需要予測
- 同カテゴリー内の過去データをもとに、発売初期の販売量から将来需要を予測
- 流通カバレッジと購買データを組み合わせることで、販売拡大の余地を把握
5. メリット・デメリット
メリット
- 市場全体の客観的データが手に入る
- 時系列でトレンドを追える
- 自社・競合の比較が容易
- 自社調査に比べ高精度
デメリット
- 費用が高額
- 他社も同じデータを利用できる(競争優位性は限定的)
- 自社に特化した細かい情報は得られない
最近の動向
- デジタル化:ECサイトやスマホアプリの購買データが追加されている
- オムニチャネル対応:リアル店舗+オンラインを統合的に分析可能
- AI解析の活用:需要予測やレコメンドに活用されるケースが増加
まとめ
シンジケートデータは、マーケティング戦略の「土台」となる客観的な市場データです。企業はこれを活用して 市場シェアの把握・トレンド分析・広告効果検証・新商品需要予測 を行い、迅速かつ精度の高い意思決定を実現しています。
今回は以上となります。
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