目次
目標
t検定について理解する
ANOVAについて理解する
t検定(t-test)
手法の概要
- 2つのグループの平均値に差があるかどうかを統計的に検証する手法。
- 「差が偶然ではなく、統計的に有意か?」を確認できる。
- データが正規分布に従うと仮定して用いられる。
主な種類
対応のないt検定(独立2標本 t検定)
- 別々の集団を比較する 検定。
- 「Aグループの平均」と「Bグループの平均」を比べたいときに使います。
- データの間には関連がありません。
- 例1: 男性と女性の「平均購入額」の比較(それぞれ別の人たち)。
- 例2: 東京の顧客と大阪の顧客の平均購入額の比較。
- 例3: 広告Aを見た人と広告Bを見た人の購入率比較。
- 👉 集団が完全に別なので「独立している」と言います。
対応のあるt検定(対応あり t検定)
- 同じ対象を2回測る(ペアになっている) データを比較する検定。
- 「前と後」や「条件Aと条件B」など、同一対象を比較するので「対応あり」。
- 例1:同じ顧客の「キャンペーン前とキャンペーン後」の購入額。
- 例2:同じ学生の「授業前テスト」と「授業後テスト」の点数。
- 例3:同じ患者の「投薬前の血圧」と「投薬後の血圧」。
- 👉 同じ人を2回測るので、「差分(後−前)」を1つのデータとして扱えるのがポイントです。
1標本t検定
- 1つのグループの平均 が「基準値」と違うかどうかを検定。
- 例1:ある商品の平均レビューが「3点(業界標準)」と異なるか。
- 例2:社員の平均残業時間が「月30時間」という基準より多いか少ないか。
- 👉 比較相手は「もう1つのグループ」ではなく「理論的な基準値」。
利用方法
- 2つのグループの平均を比較したいとき。
- サンプルサイズが比較的小さい場合(n<30程度でも使える)。
具体的な用途事例
- マーケティング: A/Bテストで「広告Aと広告Bでクリック率に差があるか」を検証。
- 教育: 新しい教材導入前後で、学習者のテスト点数が上がったかどうか。
- 医療: 新薬投与群とプラセボ群で平均血圧に差があるか。
Excelを利用したt検定
方法1: 関数を使う(次回ここから)
T.TEST 関数を使う(Excel 2010以降)
=T.TEST(配列1, 配列2, 尾, 型)
- 配列1, 配列2:比較する2つのデータ範囲
- 尾:1(片側検定)または 2(両側検定)
- 型:
- 1 = 対応のある t検定
- 2 = 等分散を仮定した2標本 t検定
- 3 = 不等分散を仮定した2標本 t検定
分散分析(ANOVA: Analysis of Variance)
手法の概要
- 3つ以上のグループの平均値に差があるかを検証する方法。
- 「各グループ間の差」 と 「グループ内のばらつき」を比較して、統計的に有意か判断。
主な種類
一元配置分散分析(One-way ANOVA)
- 1つの要因(カテゴリ変数) がグループを分けている場合に、平均の差を比較する方法。
- t検定の「3グループ以上版」とイメージすると理解しやすいです。
- 例:広告媒体(TV、Web、新聞)の違いで売上に差があるか。
- グループ1 = TV広告を見た人の売上
- グループ2 = Web広告を見た人の売上
- グループ3 = 新聞広告を見た人の売上
→ 3つのグループの「平均売上」が同じかどうかを比べる。
- 👉 「1つの軸(広告媒体)」でグループ分けするから「一元」です。
二元配置分散分析(Two-way ANOVA)
- 2つの要因 がデータに影響しているときに使う方法。
- 要因ごとの効果だけでなく、組み合わせ(交互作用)の効果が検証できます。
- 例:広告媒体(TV、Web、新聞) × 地域(東京、大阪)の組み合わせで売上に差があるか。
- →TV広告 × 東京
- →TV広告 × 大阪
- →Web広告 × 東京
- →Web広告 × 大阪
- →新聞広告 × 東京
- →新聞広告 × 大阪
- → 「広告媒体の効果」「地域の効果」「広告媒体 × 地域の相互作用」を検証できる。
- 例:広告媒体(TV、Web、新聞) × 地域(東京、大阪)の組み合わせで売上に差があるか。
- 👉 「2つの軸(広告媒体と地域)」があるから「二元」です。
繰り返し測定ANOVA
- 同じ対象を複数回測定 したときに使う方法です。(同じ被験者を複数の条件下で測定した場合の差を検証。)
- 対応のあるt検定の「3条件以上版」とイメージするとわかりやすいです。
- 例:同じ被験者が「広告なし」「Web広告あり」「TV広告あり」の3条件下で購買意欲を測定。
- 同じ患者の血圧を「薬なし」「薬A」「薬B」で測定して比較。
- 例:同じ被験者が「広告なし」「Web広告あり」「TV広告あり」の3条件下で購買意欲を測定。
- 👉 同じ人を何度も測るので、「個人差」を除いた上で「条件の違いによる平均差」を検証できます。
利用方法
- 比較したいグループが 3つ以上ある場合。
- グループ間の違いだけでなく、「要因間の交互作用(相互効果)」も調べたい場合。
具体的な用途事例
- マーケティング: 価格帯(低価格・中価格・高価格)の違いが売上に影響するか。
- 製造業: 製造条件(温度・圧力・機械種類)が製品品質に与える影響を検証。
- 心理学: 学習法(映像・テキスト・グループ学習)によるテストスコアの差。
Excelを利用したANOVA
データ分析ツールを使う
- メニュー「データ」 → 「データ分析」 → 「分散分析: 一元配置」または「分散分析: 二元配置」
- データ範囲を指定(例: 各列がグループを表すように入力)。
- 出力先を指定すると、分散分析表(ANOVA表) が出力されます。
「データ」タブをクリック

分析ツールをクリック

「分散分析: 一元配置」または「分散分析: 二元配置」を選択

入力範囲を選択し、一覧表の先頭行をラベル(項目名)として使用するかを確認し必要ならチャックを入れます

出力の見方
- p値(P-value) が 0.05 未満なら、グループ間に有意な差がある。
- 例: 「3つの価格帯ごとの売上データ」に対して分散分析をすると、「価格帯によって売上に差があるか」がわかる。
t検定とANOVAの関係
- t検定 → 2グループ間の平均の差を検定。
- ANOVA → 3グループ以上の平均の差を一度に検定できる。
- ANOVAはt検定の拡張版 と考えられる。
- 例えば3グループを比較したいときに、t検定を複数回やると誤検出(多重比較の問題)が増えるため、ANOVAを使う。
まとめ
どちらも「平均値の差が偶然ではないか」を検証する手法で、A/Bテストや施策効果測定に頻繁に使われる。
- t検定 = 2グループ比較(AとBに差があるか?)
- ANOVA = 3グループ以上比較(A・B・Cで差があるか? 要因の組み合わせで違うか?)
今回は以上となります。
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