目標
- パーティションについて理解する
- ファイルシステムについて理解する
- ジャーナリングファイルシステムについて理解する
パーティションとファイルシステム
パーティションとファイルシステムについては、次の記事も参考にしてください。
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パーティション
パーティションの概要
パーティション(Partition)とは、ハードディスクやSSDなどのストレージデバイスを論理的に分割する仕組みのことです。ストレージ全体を1つの大きな領域として使うのではなく、用途ごとに分けることで、データの管理やOSの運用がしやすくなります。
パーティションを分ける理由
パーティションを分割する理由には次のものがあります。
- システムとデータを分けることで、OSが壊れてもデータを保護できる
- 複数のOS(例:WindowsとLinux)を共存させるため
- バックアップや復旧をしやすくするため
- ファイルシステムを使い分けるため(例:ext4、xfsなど)
Linuxでの基本的なパーティション構成
Linuxのインストール時に、次のようなパーティションを作成するのが一般的です。
パーティション | 用途 | 解説 |
---|---|---|
/ (ルート) | システム全体 | OSやアプリケーションが入る基本領域 |
/home | ユーザーデータ | 各ユーザーのデータを保存(分けるとアップグレード時に便利) |
swap | 仮想メモリ | RAMが足りない時に使われる補助的な領域 |
/boot | ブートローダー | Linuxの起動に必要なファイルを保存 |
パーティション管理コマンドの概要
Linuxでディスクのパーティションを管理するには、いくつかのCLI(コマンドラインインタフェース)ツールが用意されています。代表的なものは以下の3つです。
コマンド | 対応パーティション形式 | 特徴 |
---|---|---|
fdisk | MBR | 古くからある標準的ツールです。MBR専用です。 |
gdisk | GPT | GPT専用のパーティション編集ツールです。 |
parted | MBR・GPT 両対応 | 柔軟性が高くスクリプト処理にも対応しています。変更が即時反映される点では注意が必要です。 |
fdiskコマンド(MBR専用)
fdiskはMBR(Master Boot Record)形式のディスクに対してパーティションの作成・削除などを行うツールです。代表的な操作例は次の通りです。
sudo fdisk /dev/sdX
※ /dev/sdX は対象ディスク(例:/dev/sda)
この操作は対話形式で進みます。対話形式で利用する主なサブコマンドは以下の通りです。
- m ヘルプを表示
- p パーティション一覧を表示
- n 新しいパーティションを作成
- d パーティションを削除
- w 変更を保存して終了
- q 変更を保存せずに終了
gdiskコマンド(GPT専用)
gdiskは、GPT(GUID Partition Table)形式のディスク専用のパーティション編集ツールで、fdiskに似た操作感を持っています。代表的な操作例は次の通りです。
sudo gdisk /dev/sdX
操作はfdiskと似ています。主なサブコマンドは次の通りです。(fdiskと共通)
- p パーティション一覧を表示
- n 新しいパーティションを作成
- d パーティションを削除
- w 変更を保存して終了
- q 変更を保存せずに終了
partedコマンド(MBR/GPT 両対応)
partedはMBRにもGPTにも対応したパーティション編集ツールで、スクリプトや自動処理に向いている柔軟な設計です。
sudo parted /dev/sdX
または、コマンドを一行で使うことも可能です。
sudo parted /dev/sdX mklabel gpt
partedの主なサブコマンドは次の通りです。
- mklabel パーティションテーブルを新しく作成(例:msdos, gpt)
- mkpart 新しいパーティションを作成(種類や範囲を指定)
- rm パーティションを削除
- print パーティションの現在の状態を表示
- quit partedを終了する
partedコマンドでの操作例
GPTパーティションテーブルの作成
sudo parted /dev/sdX mklabel gpt
パーティションの作成(例:ext4用、開始1MiB、終了512MiB)
sudo parted /dev/sdX mkpart primary ext4 1MiB 512MiB
現在のパーティションを表示
sudo parted /dev/sdX print
ファイルシステム
ファイルシステムの概要
ファイルシステムとは、データをディスク上に整理して保存・管理するための仕組みです。ファイルやディレクトリの構造、アクセス権限、使用可能な容量、速度、信頼性などに影響を与えるため、用途に応じたファイルシステムを選択することが重要です。
主なファイルシステムの種類と特徴(Linux編)
ファイルシステム | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
ext4 | ・Linuxの標準的なファイルシステム ・高い安定性と互換性 ・ジャーナリング機能あり | デスクトップ・サーバー問わず広く利用 |
xfs | ・大容量ファイル・パーティションに強い ・高いパフォーマンス(特に書き込み) ・拡張に強いが縮小はできない | 大規模サーバーやファイルサーバー向け |
btrfs | ・スナップショット、圧縮、RAID対応など高機能 ・ZFSに似た設計だが、開発中の機能も多い | 開発用途やスナップショットが必要な環境 |
FAT32 / exFAT | ・Windows互換性が高い ・FAT32は4GB制限あり、exFATは制限緩和版 | USBメモリ・SDカードなどでのデータ共有 |
NTFS | ・Windowsの標準ファイルシステム ・Linuxからの読み書きも可能(ntfs-3gなど) | Windowsとのデュアルブートや共有ディスク |
ファイルシステムの選び方
- ext4:一般的に利用されるファイルシステムです。
- xfs:大量のログ・大容量ファイルを扱うサーバーなどに最適です。
- btrfs:スナップショットによるバックアップや複雑な構成が必要な場合に利用します。
- FAT32 / exFAT:他OSと共有するUSBドライブなどで利用します。
- NTFS:Windowsと併用する環境で利用します。
ファイルシステムの作成コマンド例(mkfs)
パーティションを作成した後、その領域にファイルシステムを作成するには mkfs コマンドを使います。
ext4ファイルシステムを作成
sudo mkfs.ext4 /dev/sdX1
xfsファイルシステムを作成
sudo mkfs.xfs /dev/sdX1
btrfsファイルシステムを作成
sudo mkfs.btrfs /dev/sdX1
ジャーナリングファイルシステム
ジャーナリングファイルシステムの概要
ジャーナリングファイルシステムとは、ファイルやディレクトリの変更を実行する前に「ジャーナル(ログ)」に記録しておくことで、システム障害(例:電源断、クラッシュ)からの復旧を早く・安全に行えるようにしたファイルシステムです。
ジャーナリングファイルシステムの必要性
従来のファイルシステムでは、予期しないシャットダウン時に、ファイル構造が壊れたり整合性が失われたりするリスクがありました。これに対して、ジャーナリングによって、変更内容を一時的にログに記録するため、障害発生後でもログをもとにシステムの整合性を素早く復元できます。
ジャーナリングファイルシステムの仕組み(処理の流れ)
- ファイルシステムへの変更要求が来る
- まずその変更を「ジャーナル」に記録(まだ本体は書き換えない)
- ジャーナルへの記録が成功したら、本体のファイルシステムに変更を適用
- 完了したらジャーナルを消去(または無効化)
ジャーナルの記録方式(モード)
ジャーナリングには主に以下の3つのモードがあります。
- Writeback(書き戻し)…パフォーマンスを重視するならWriteback
ジャーナルにはメタデータのみ記録。パフォーマンス重視。
⇒ 多少のデータ喪失リスクあり - Ordered(順序付き)…バランスを重視するならOrdered
データの書き込みとメタデータのジャーナル記録の順序を保証。
⇒ Linuxのext3で一般的な方式。安全性と速度のバランス - Journal(完全ジャーナル)…安全性重視ならJournal
データもメタデータもジャーナルに記録。最も安全だが遅い
モード | ジャーナルに記録する内容 | 書き込み順序保証 | パフォーマンス | 安全性・整合性 |
---|---|---|---|---|
Writeback | メタデータのみ | 保証しない | ◎(高速) | △(不完全) |
Ordered | メタデータのみ | 保証する | ◯ | ◯ |
Journal | メタデータ+データ | 完全保証 | △(遅い) | ◎(完全) |
代表的なジャーナリングファイルシステム
代表的なジャーナリングファイルシステムには次のものがあります。
名前 | 主な用途・特徴 |
---|---|
ext3/ext4 | Linuxで広く使われる。ext4は高速・信頼性向上 |
NTFS | Windowsで使われる。セキュリティ機能も豊富 |
XFS | 大規模システム向け。高速なジャーナリング |
APFS | AppleのmacOS/iOSで使用。スナップショット対応 |
ジャーナリングファイルシステムのメリットとデメリット
- メリット
- システムクラッシュ後の復旧が高速
- ファイルシステムの一貫性が保たれる
- 管理者の手間が減る
- デメリット
- パフォーマンスに若干の影響あり
- SSDの寿命に影響を与える可能性(書き込み回数が増える)
今回は以上になります。

ブックマークのすすめ
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